秋田県立増田高校農業科学科の研究チームは、米「あきたこまち」から甘味料として使える蜜を作る方法を考案した。米価下落の中、地元産「あきたこまち」の用途を広げ、付加価値を高めるのが狙い。
専用の設備がなくても簡単に作れるため、米の新しい販売形態として地元農家に提案していく計画だ。
砂糖が貴重だった時代、稲作地帯では、もち米に含まれるデンプンを大麦の麦芽に含まれる酵素ジアスターゼで分解し、糖化させて蜜をつくっていた。これをうるち米の「あきたこまち」に置き換えようと実験を重ね、3年生4人が3か月かけて完成させた。
作り方はこうだ。蒸かした「あきたこまち」と発芽させた麦芽を6時間かけて煮詰めて麻の布で搾り、さらに4時間ほど煮詰めると、白く、サラサラな蜜ができあがる。市販の調理器具があれば作ることができ、糖度を計測する62度に達していた。癖がない甘さで、さまざまな料理に活用できるのが強みだ。
チームリーダーの高橋智也さんは「米価下落に苦しむ農家の助けになりたい。『あきたこまち』から甘味料という新たな価値観を定着させたい」と期待を込める。
同校では今後、農家に蜜作りや新たな加工品開発を提案するとともに、飲食店などにも売り込み、甘味料としての需要を開拓していく方針だ。
(あ)
(日本農業新聞への送稿記事)