トンボと聞くと秋の昆虫のイメージが強いのではないでしょうか。
黄金に実った稲穂とアカトンボ。夕焼けに照らされたその姿は古くからの日本の田園風景として非常に趣を感じますね。
さて、日本では古来より縁起の良い昆虫として知られるトンボ。
「勝虫」として前田利家の兜にあしらわれ、本田忠勝の槍も「蜻蛉切」と呼ばれ、恐れられました。
なぜトンボが「勝虫」と呼ばれるようになったかは諸説あり、有名なのは「一直線に前に進むさま、真後ろに進まない(引かない)さま」。これが武将にとっては自らの覚悟を込める意味でも縁起を担いだのではないでしょうか。また、稲作が盛んな日本において稲の害虫を食べるトンボがそもそも日本人に好まれる環境にあったこともあるかもしれませんね。
トンボは全世界で約5000種、日本では200種近くが生息していると言われています。
秋のトンボで有名なのはアキアカネなどのアカトンボと呼ばれる種類。
夏のトンボといえばオニヤンマなどの大きなものが挙げられます。
今日は数あるトンボの中から「ハグロトンボ」を紹介いたします。
ハグロトンボは夏、7月~8月に多くみられるトンボです。
ハグロという名前は羽が黒い羽黒から付いたという説や、お歯黒を塗ったように全身が黒いからだという説もあります。
オニヤンマのようにビューンと素早く飛ぶことはなく、むしろ蝶のようにひらひらと飛びます。
ハグロトンボは一部の地域では「神様トンボ」と呼ばれており、田の神の化身であるとの考え方もあるのだそう。
葉にとまって休む際、羽を閉じて休む姿が手を合わせて拝む姿に見えるからという説があるそうですが、これも諸説ありますので正確なところはわかりません。
そんなハグロトンボは青森では準絶滅危惧種、東京では絶滅危惧種Ⅱ類に指定されています。
思いがけず見かけることができましたので今回撮影しました。