約1年振りのブログ更新ですよ~後編

勢いで後編も更新しちゃいます!!

東北・北海道地区JA青年大会については残念ながら僅かに最優秀賞に届かず、優秀賞でした。

 

【発表全文】

ふるさとまるごとめしあがれ

JA秋田ふるさと青年部平鹿支部

柿崎 大二朗

 

 

 

「いつもおいしい野菜をありがとう!」

 

地域の子供達は、私たち青年部員にこう話しかけてきます。何故、子供たちは私たちに呼び掛けてくるのでしょう?

それは3年間に渡る、私たちと子供達との交流があったからです。

 

私の所属する平鹿支部は部員数も90名以上と管内では一番大きな支部であり事業も数多く、特に食育活動については年間を通じて保育所4ヶ所、小学校3校で実践しています。

活動が多くなる時期は、部員たちも自分の仕事と重なってしまうため、自分の仕事と掛け持ちしながらの参加という状態でした。

色々と改善も進めてきましたが、毎年同じ事業をこなしていると、どうしても部員の事業に対する意識が低くなり、年々、参加する部員が減少していたのが正直なところです。

 

「どうすれば前のように盛り上がるんだろうな?」

「何か新しい事業やった方がいいんじゃないか?」

「どうせやるなら、食育事業にしよう!」

 

そんな中、注目したのが「学校給食」でした。元々、JAでは給食センターから発注があった食材を生産者に依頼し、給食センターに納入していた経緯があり、青年部員も食材の提供に係ってきました。

 

そこで閃いたのが

『一日だけでいいから給食の献立の食材を全て「平鹿町産」で賄いたい。これまでは収穫体験までの事業だったが、食べるところまで体験してもらいたい。そして子供たちに平鹿町の食の豊さを伝えたい』ということです。

聞くところによると普段の給食の食材は22.6%しか地元産で賄っていないそうです。

「地元産食材100%の給食を一日だけでいいからできないものかなぁ」

 

さっそく、給食センターにこの事業の提案をしました。

「それは素晴らしい事業です!しかし年間の食材に対する予算も決まっているので我々の一存では決めることができません。」

と、断られてしまいました。

 

食材さえ提供すれば、子供達へ地元産の美味しい給食を食べさせてあげることができると思っていました。予算も必要であり、年度も始まっていて私たちには新しい事業に使える予算はありませんでした。

しかし、我々も諦めることができません!何か方法はないかと模索しました。

 

あれこれ考えていると、ある日支部長より朗報がありました。

「地域づくり協議会で話をしてみたら、皆がこの事業に関心を持ってくれた。もしかしたらなんとかなるかもしれない。」

 

「地域づくり協議会」とは、広域合併前の旧市町村単位で各地域の活性化事業や住民主体のまちづくり事業を行うための機関です。

 

みんながすがる思いで支部長に期待を寄せていました。

その数日後、「予算とってきた!」との一言に

我々は歓喜に沸きました。

 

 

 

しかし喜んだのも束の間、まだまだ自分たちが考えていたよりも問題は山積みでした。事業の進め方はどうする?開催日程は?そして、給食の献立は!?

青年部単体の事業であれば自分たちで決定し、すぐに実行することもできましたが、今回は市や給食センターと協力しながらの事業であり、我々の一存では決めることも進めることもできません。

 

まずは、この問題点を一つずつ解決していくことに。

 

事業の進め方や日程については地域づくり協議会に支部長が出向き、協議をしてもらい調整しました。

 

献 立づくりについてはまずその時期に出荷できる食材のリストを作り給食センターへ提出。そのリストをもとにメニュー作りをおこない、栄養士さんをリーダーに 各団体の代表者との会議を開き、栄養バランスが良く、地元らしくて、子供たちに好まれ、その日に調理可能な献立が検討されました。また、給食センターの協 力で、その日限定で調理師さんも増員して対応してもらえることとなり、より複雑なメニューもできる体制が整いました。

 

また地域づくり協議会からの提案で

『「出荷者の顔写真」「出荷野菜の紹介」「小中学生へ一言」「今日のおしながき」を載せたパンフレットを作ることになりました。

 

早速、ハウス・圃場で出荷してくれる各部員の写真をゲット!

 

パンフレットも完成し、平鹿町の小中学生1,192食分も準備が整い、いざ給食当日を迎えました。その給食も「まるごと平鹿地産地消給食」というカッコイイ名前が付きました。

 

当日は青年部員に親近感を持ってもらうために各部員が出身校に分担して出向き、平鹿町の小中学生、全ての生徒に向けた農家の思いを伝えにいきました。

 

部員①「地元の食材の豊さを感じて下さい」

部員②「これからも地元に愛される、農産物作りを目指します」

などのメッセージを生徒達に届けました。

 

そして、部員達も楽しみにしていた給食!

部員も生徒も一緒に、声高らかに「いただきまぁ~す」

 

子供たちの反応をドキドキしながら観察してみると・・・

「今まで食べた給食で一番おいしい!」

「普段はこんなに食べられないのに今日は給食全部食べられるよ!」

 

するとこんな声も

「この写真の人知ってる!」

「○○君のお父さんじゃない!?」

 

ここで一緒に配ったパンフレットの力がさっそく表れました。

パンフレットには出荷者の顔写真とメッセージ。インパクトは十分です。

子供たちは自分の知っている人を探そうと食い入るように見入っていました。

その様子を見ながら地元のすぐ近くに素晴らしい農産物が有ることを感じてもらうことが出来たという手応えを感じました。

 

そして2年目に突入

地域作り協議会との連携も上手く取れ、初年度の経験を生かしスムーズに進むと思いきや、ここでまたもや問題が。

供給しようとしていたスイカが僅かに時期が合わず出せなくなり、タマネギは収量が少なく残念ながら青年部員では確保出来なかったのです。すぐに給食センターに報告したところ、献立は遅くとも一ヶ月半前には決めなければならず、直前の変更は難しいとのことでした。

 

農産物は気候に大きく左右されます。また、青年部だけでは食材の種類にも限界がありました。

しかし、我々はへこたれません!スイカの代わりに地元の特産品を献立に加えられないかと考え、商工会に協力を要請したところ、

「平鹿名物あやめ団子」を急遽、提供して頂き給食に出すことに決まりました。

そして不足していた、タマネギは地元のJA女性部に相談したところ

「子供達のためなら、いくらでも協力するよ」

と、大変嬉しい返事を頂くことができました。

 

これでようやく給食センターからも「このメニューなら大丈夫!!」とOKをいただき、2年目の給食も無事、終えることができました。

この2年目の経験から、食材を安定的に供給する難しさに改めて気づきました。また給食法で調理法や調理時間、運搬時間なども決まっており、規格品でなければ調理できないことも知りました。

そして、この事業も今年が3年目。

今年こそ順調にいくと思っていました。しかし、一昨年前の豪雪の影響により、リンゴの木が甚大な被害を受け、収穫量が激減。

名産のリンゴジュースを出す予定でしたが、リンゴジュースの生産量も減り給食に出せなくなりました。色々と手は尽くしましたが、どうしてもリンゴジュースに代わる地元産の飲み物を準備することが出来ませんでした。

三年目にしてついに100%平鹿産を達成できませんでした。改めて自然の脅威と安定供給の難しさを実感しました。

 

しかし今年は、残念な事だけではありません。3月に横手青年会議所のメンバーと話す機会がありこの活動のことを伝えると、協力したいとの申し出がありました。協議の結果、一緒に行うことになり私たちの活動がついにJCにも影響を与えることになったのです。

JCの協力を得たことをきっかけに平鹿町だけにとどまらず横手市全域で行うことを提案。

そうなると市全域の給食ということで、平鹿支部だけではなく秋田ふるさと青年部全体の協力が必要との結論にいたりました。

しかし、横手市全域となると、小学校22校、中学校9校、実に今までの8倍もの規模になってしまいました。食材の提供は困難となりましたが、JCや各生産部会、横手市と協議を重ね、5日間に渡って開催することになりました。

そしてその名も「横手ごっつお給食」

問題も解決することができ、大きなトラブルも無く無事終了できたことで、今まで培ってきた経験が確実に身になっているのだと実感できました。

 

今年度の給食事業も終わり、ホッとしていると様々な反響が返ってきました。

ある中学校からは、「農業体験したい」という電話があり、また小学校からは農業について教えてもらいたい。圃場にも子供達を連れて行きたい!等です。

そしてある子供は自由研究テーマにしたいから取材させてください!と圃場まで来てくれ、「将来は農家になりたい!どうやったらなれますか?」との嬉しい言葉。

なんと未来の後継者まで見つかってしまうという嬉しい副産物も生まれました。

そ して、部員を取り巻く環境にも変化が表れました。最近では近所の子供たちが急に話しかけてくるようになったり、学校行事に参加すると父兄が話しかけてくる ようになりました。それだけではなく、部員達も「どんな食材が日々使用され求められるのかを知ったような気がする」などの感想を口にし、部員の意識にも変 化がみられるようになりました。

 

3年間続けたこの事業の効果を部員たちで改めて話し合い確認をしてみました。

 

①  子供達と学校が農業に興味を持ってくれた

②  生産者の顔が見えたことにより、消費者との距離が縮まった

③  部員が地産地消の難しさと重要性を認識できた

この事業を通じてこのような効果を確認できました。

 

そして、何より部員達が新しい事へチャレンジしようとした熱意、問題や課題を克服しようとした努力を嬉しく思います。

この経験があれば自分たちはまだまだ色々なことができる!と改めて実感しました。

 

今年度JCと共同で行ったことがきっかけとなり、来年度はこの給食事業が青年部本部事業に格上げに決まりました。

青年部が中心となりJCと引き続き連携しながらJAとその協力団体や市とも協力し横手市全域を対象に地産地消給食を継続していく事になりました。

そしていずれはこの活動が県・全国から認められ、愛される産地になることが私たちの大きな目標です。

 

私たちを取り巻く農業情勢は毎年変化しています。そして、様々な困難がこれからも目の前に立ちふさがるでしょう。

しかし、私たちの信念は変わりません。

私達の作る安心・安全な農産物、そのおいしさ、そして私達が農業に取り組む姿、私達の思いをふるさとにまるごと届け続けます。

以上が、東北大会で発表した原稿になります。

平鹿支部で、JA青年大会に出場したのが聞くところによると約10年振り?の発表らしいです。

今回の発表を通じて、より一層支部が発展していけば・・・と思っています。

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